「どうしても、ダメか」
「うん。これだけはどれだけ頼まれてもダメ」
「……そのような目でこちらを見られましても、ダメなものはダメですよ?」
「さん……」
笑顔で耀哉に断られ、アマネにも子供たちにも首を振られて、はがっくりと肩を落とす。
「ああ、もう!」
子供と女性と年下の真摯な願いに弱い魔法遣いは、視線を後ろに座ってる面々へ向ける。
「お前らも笑ってないで、そこは力づくでも連れていく気概を見せろよ!柱だろ!」
必死で安全圏への避難を進めていたとは対象的に柱の面々は、のんびりとしていた。
「御館様がそう言われるのだ、問題なかろう」
「がいるのに、何か問題あるの?」
「……全く無いような気がするが」
仲良く団子を食べながら笑う杏寿郎の隣で、無一郎と義勇が首を傾げている。
「むしろ、さんの隣の方が絶対安全な気するわ」
「ですよねぇ。良かったですね、さん」
蜜璃としのぶが楽し気に笑いあう後ろで、小芭内がわかってるよな?という視線を送っていた。
「派手に諦めておけ」
「……南無」
「御館様が言ってんだ。諦めろ」
他の面々もこうなっては耀哉がテコでも動かないのを知っているので、に諦めろと告げる。
「……俺としては、確実に、万が一も発生しないような安全圏に居てほしかったんだけどなぁ」
「これは我が一族の悲願だからね。……ごめんね、」
「………ああもうっ!罪の無い笑顔を浮かべながら、俺の弱みを狙い撃ちしやがって!全部終わったら、目にもの見せてやるからなっ!」
は再度頭をかきむしると耀哉の隣に座って、団子に手を伸ばした。
「いいな、絶対そこの畳より前には出るなよ。君らも、庭に出るのだけは絶対にダメだぞ」
団子を食べて、お茶を飲んだは、一つ息を吐くと、耀哉達に絶対に守ってほしい事だけを教えていく。
「庭で毬つきもダメ?」
「……耀哉の後ろでお手玉でお願いします。俺の後ろに居てほしいです。お願いします」
大事なことなので、重ねてお願いしておく。
そして、太陽が沈み切った、その時はやってくる。
「お目にかかるのは初めてだな、諸悪の根源」
「貴様か……」
耀哉たちを守るように立ちふさがる赤い外套を纏った男を、無惨は忌々しそうに睨む。
「世界のスミでガタガタ震えて命ごいをする心の準備は出来たか?」
魔法遣いは鬼の首魁を前にニヤリと笑った―――――
もう一方のアレは出てこれませんでした。すみません。
諸悪の根源より悪役らしい主人公がいいと思ってます。
さあ。いちゃらぶの日々を目指して後もう少し頑張りましょう!
コメント by くろすけ。 — 2023/03/16 @ 21:32