[真・恋姫†無双] – もしかしたらこんな事もあったかもね。2

「降伏勧告?」
「そ。俺だって無駄なのは知っているけどな。しておいて損はないだろ。何より、南国フルーツパフェ。食べたくないか?」
「……凛と秋蘭と紅を連れて行きなさい。後、凪も」
「そんなに心配しなくても、全力で逃げ帰るぞ?」
「恋も一緒に行きたい?」
「それは、宣戦布告というか、攻め滅ぼして来いというお達しか?」
微妙にやる気を出している将軍様は、視界の端だったので見なかった事にしよう。
「そうね。貴方が予定の期日になっても戻ってこなかったら、全軍をもって攻め滅ぼすわ」
「Yes, My Master. 絶対確実に戻ってくるとしよう。俺の覇王様は随分と心配性だ」
「誰のせいよ」
「俺のせいと言っているように聞こえるな」
「自覚がないのは問題ね」

通された呉の王の間で。
「なあ、さり気なく買う気がないものを売りつけられている気がするんだが」
「あまりさり気ないとは言えないぞ、。かなりあからさまだ」
「やっぱり?では期待に応えるのが、使者としての役目だと思うんだけど、いいかな?」
「全権を持っているのはだ。好きにするといい」
姉のように慕う秋蘭のお墨付きを貰った青年に怖いものは無かった。
「よし、その喧嘩。底値で買ってやる」
朗らかに笑う青年が発した上から目線の言葉に、室内の殺気が爆発しそうになる。
しかし、それを制したのは、小覇王その人だった。
「やめなさいっ!誰も動かないで。手を出しては、駄目よ」
「姉様!」
「駄目と言ったら、駄目。死にたくないなら、止めなさい」
血気盛んな妹達と部下を抑える小覇王に、青年は不思議そうに首を傾げた。
「手を出してきたら、本気で反撃しようと思ってたのに。よくわかるね。というか、むしろ君が一番に斬りかかって来ると思っていた」
「んー。女の勘?」
「……こんな恐ろしい技能を人類の半分が所持しているなんて、男としては信じたくないので『野生の勘』でお願いします」
「あら、こんな美人を前にして酷い事を言うのね」
「美人なのは疑いないけど、周りの人間が力いっぱい頷いている事実から、目を逸らすのはよくないと思う」
殺気の満ちた部屋の中で、二人だけが朗らかに笑って会話をしている状態だった。
「じゃあ、大人しく帰らせてくれるのか?」
「そうね。戦場ならともかく、ここだと貴方が手加減しないでしょう?」
「まあ、俺の覇王様と約束したからな。『全力』で逃げ帰るって」
「貴方が全力を出したら、ここにいる何人が生き残れるのかしら。見たいとも思わないわ」
「実に素晴らしい判断だ。でも、こっちに降ってはくれないんだよな?」
「ええ。勿論。戦場で会えるのを楽しみにしているわ」
「武将として一番弱い俺が貴女と戦うような事態に陥ったら、魏は終わりだと思うんで謹んで遠慮させてもらいます」
なんていうか二人の間だけ空気がおかしい。
「あの腕で一番弱いの?」
「誰にも一度も勝った事ない。一度でいいから、勝ってみたいと思っているんだが」
後ろから聞こえてくる秋蘭の『あの腕とはどういう事か、後でしっかり説明してもらおう』という呟きは、聞こえないふりをしておく。

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後書&コメント

  1. ちょっと書いてみたけど、この後に続けづらくなったので、没原稿。
    雪蓮との掛け合いは結構好き。

    コメント by くろすけ。 — 2015/08/31 @ 20:11

  2. くろすけ。さん、今晩は♪

    これはこれで「あり」ではないかと。
    ただ、妙に和気藹藹としそうな気がしますので没にされたのかなあと。

    ところで私も気管支炎になってしまいました。
    熱が39度を超え、「肺炎直前ですね」とありがたくないお言葉が。

    このくそ忙しいときに3日も休むなぞ予想もしなかったです。
    部下に全部任せてしまいましたが何とかなるもんだなとw

    コメント by Hiro — 2015/09/02 @ 19:20

  3. > Hiro様
    最初は入れるつもりで考えてたんですけどね?
    ちょっと繋ぎが出来なかったもので、没原稿と相成りました。
    気管支炎、お疲れ様でした。
    私はそこまで酷い熱は出なかったんですが、なにぶん咳が酷くて少ない腹筋が死に絶えそうでした。
    お互い健康には気をつけて頑張りましょう!

    コメント by くろすけ。 — 2015/09/06 @ 00:46

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Posted: 2015.08.31 WebClapSS. / PageTOP