気が付けば君を探してる(真・恋姫†無双:華琳)

遥かな未来から来たという青年の姿を、城壁の上から覇王様が視線だけで追いかけている。
行く先々で、何かを頼まれては笑って請け負う彼に、華琳は小さくため息をついた。

ある日、会議の後に華琳に呼ばれ、諒だけがその場に残らされた。
ここ最近で大きなミスをしでかした覚えがない青年としては、胸の中で心当たりを調べてみるが首をかしげる一方である。
「何か失敗をしていたか?警備隊の方に何か?」
「いえ、そちらは問題ないわ。商人たちからの評判も上々よ。引き続き、質の向上に励みなさい」
「了解だ。では、何だ?」
彼女の言葉に、彼はますます訳がわからない。
「あなたね……」
華琳はため息を吐いた。どうやら、彼は自分の顔色を把握していないらしい。
「少しばかり働きすぎなのに気づいてないの?」
最近見ていた彼の行動をひとつずつ上げてはため息を吐く彼女の言葉をまとめれば、どうやら、『自分の休み時間を削ってまで、他人の世話をするな』という事らしい。
「何…?言いたい事があるなら、ハッキリ言いなさい」
行動の問題点を挙げていた華琳は、自分を見つめる諒の視線に訝しげな声を上げた。
「いや、よく見ているなと思って。これが俺を気に入ってくれているという理由なら嬉しいんだが」
「部下の管理は、上司の責任よ」
素っ気無い華琳の言葉に、青年は苦笑し軽く肩をすくめる。
「それは残念。以後、気をつけよう。明日の休みはゆっくり疲れを取ることにする」
「そうなさい」
「だが、そういう華琳もこのところ休んでいないだろう?秋蘭にも聞いて確認したぞ。全部自分で片付けることはない。部下を信頼するのも、上司の務め。だろう?」
「あら、よく見ているのね」
先ほどの意趣返しか、華琳はあくまのわらいを浮かべて諒を見上げたのだが。
「大切な人を心配するのは当然の事だ。華琳の事はいつでも見ている。俺でも手伝えることがあったら、いつもでも言ってくれ。猫の手よりマシなつもりだからな」
などとあっさりと微笑みながら返されてしまって、ますます気が付けば青年を探してる覇王様なのでした。

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後書&コメント

  1. ……覇王様が大好きなんです。

    コメント by くろすけ。 — 2009/09/04 @ 13:14

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Posted: 2009.09.04 短編にも満たない諸々。. / PageTOP