荒野の真ん中で、青年は空を見上げていた。
「ああ、空が蒼いなぁ」
現在の状況に涙が出そうですが。
青年は着ていたコート代わりのスキーウェアを脱ぎながらため息をついた。
確か数分前は東京を走る地下鉄に乗っていた。
徹夜明けで乗り過ごしそうになって慌てて家の最寄り駅で飛び降りた……はずだ。
その証拠に自分の格好は愛用のメッセンジャーバックに軍用ブーツ、ジーンズに綿の長袖Tシャツに重ね着したこれまた綿の半袖シャツ。寒くなってきたので着るようになったモスグリーンのスキーウェア。ポケットがいっぱいあって重宝している。
徹夜明けの頭が可笑しくなったとか、凄くリアルな夢を見ている方がよかったと思えるほどの今の状況。
「俺にどうしろというんだ?姫」
彼が姫と呼ぶのはただ一人。ちょっとしたことの恩返しにと、彼をあらゆる魔法や術を行使可能にしてしまった存在。
現代社会でゲームを趣味にしていた青年が、ものは試しにと【ファイア】と公園の噴水に唱えた時の事は多分忘れられないだろう。
それ以降、目に付く小説やゲームは読んで、覚え切れないものはメモを取った。それは常にポケットの中にある。
攻撃力は飛躍的に上がった。怪我も余程のことがない限り治せるだろう。病気に対しても有効な魔法をいくつか見つけたので問題がない。
ただ、空腹という物理的な問題には魔法では対抗できない。
「最悪、石をパンに変える実験とかやってみるしかないな」
ここがどこか判らない以上、バックの中のカ○リーメイトとのど飴は非常食として取っておくのが最善策だろう。
「……とりあえず近くの街へ向かうか」
青年はため息を吐いて、荒野を歩き出す。
こうして、物語の幕は開いたのだった。
主人公、荒野に立つっ!(笑)
名前変換すらないという短さですが、物語はここからですしね。
ここがどこかわからない以上、空を飛ぼうとかいう発想は主人公の頭の中にはありません。
石をパンに変えられるのは、神様の御業です。水もワインに出来たりするかもしれません。
コメント by くろすけ。 — 2010/02/08 @ 14:54
パンが無ければケーキを食べれば良いじゃない
更新お疲れ様です。今回の新連載、楽しみに待っておりました。
大量虐殺出来そうな魔法は使わない感じなのかな?あくまで対人程度なのかなー。
この主人公が戦場で鍛えられて行くと誰も手ぇ付けられなくなるんじゃなかろうか。件の姫様以外。まさしくチーターマン!だがソレがイィ!
魏だけに留まらず呉・蜀の女性陣も堕としまいそうでwktkでつ。ほら、三国統一しますし。
ではでは、次回の更新も楽しみに待ってます。
コメント by 連星 — 2010/02/15 @ 06:13
>連星様
コメントありがとうございます。
あんまり最強物には見えないかもしれません。ごく一般人なので、よっぽどのことが無い限り戦場に立とうとは考えもしないだろうし。そう!チートコードをかけられたのは能力のみっ!中身はごく一般人なのですよ。
はてさて、魏以外はどうなることやら。恋は頭を撫でて餌付けしたいという、私の個人的欲求があるんですが(笑)
次回更新をマッタリお待ちくださいませ。
コメント by くろすけ。 — 2010/02/15 @ 09:36