[Code/Geass.] -正体がバレた後のひとコマ。

「誰?」
人が近づく気配に気付き、彼は閉じていた目を開いた。
、ここにいたのね」
「カレン、何かありましたか?」
中庭の木陰で昼寝を決めこんでいたは、愛おしい彼女の姿に体を起こした。
「何か用事がないと、来てはいけませんか?」
少し離れたところへ腰を下ろしたカレンに、は苦笑を見せる。
「そんなことはありませんよ。カレンならいつでも大歓迎です。だから、ここへ来てもらえませんか?」
彼は自分の隣を軽く叩いて示した。
彼女が来てくれるまで、彼はじっと彼女を見つめ続け、カレンは諦めたように大きくため息を吐く。
「貴方には勝てません」
根負けしたカレンは彼の間に開いていた隙間をつめた。
「そうですか?」
は首を傾げて、カレンの顔を覗き込む。
「そうです」
カレンは言い切ってから、少し心配そうに彼の顔を見つめた。
「それよりも、お邪魔ではありませんでしたか?」
「何故?」
その温もりを確かめるように、彼はカレンの頬に手を添える。
「眠っておられたみたみたいでしたから…」
の手に擦り寄りながら、カレンは彼の手に自らのそれを重ねる。
その無防備さを、他の者には見せて欲しくないと、は願う。
「カレンならば大歓迎だが?」
だから、つい本性が出てしまう。
いつもは綺麗に隠し遂せるのに、彼女の前だと、その仮面は音を立てて崩れてしまう。
ルルーシュとナナリーの前でもそれは同じだった。きっと、『家族』には仮面は通用しないのだろう。
彼の纏う空気が変わった事に気付いたのか、カレンの身体が一瞬固まった。
?」
「学園ではでしょう?カレン」
いつの間にか青年の左腕は彼女の腰へと回されていたりする。
「いい天気だったから、少し休んでいただけです。私はルルほど巧く眠れないしね」
そう言って彼はひょいと彼女を膝の上に抱えあげた。
「やっぱりお疲れなのでは…」
「私は大丈夫。それより、カレンは?ちゃんと休んでいる?」
慌てて彼の上から降りてしまおうとする彼女を抱きとめながら、心配そうに彼女を見つめる。
無理をさせているとわかっていた。
学園と騎士団。しかも、彼女はエースパイロットだ。
「だ、大丈夫です。これでも丈夫なんですよ?」
「……それでも、ね。大切な人の事は心配したいものなんです」
「あ、ありがとうございます。でも……」
カレンは小さくため息を吐いて続ける。
とルルーシュの方が心配です。作戦の立案、実行、組織の指示も、全て貴方たち2人で…」
自分よりも2人の方がいつか倒れてしまいそうだった。
「少しでも休んでください。それと……少しは頼ってください」
じっと見つめてくるカレンには優しい微笑を見せる。それが極々限られた人にしか向けられない事をカレンは知っていた。
「ありがとう、カレン。ルルもそれを聞けば喜びます」
「…そうでしょうか?」
眉間に皺を寄せるカレンに、は小さく噴出した。

「あれでも本当は喜んでいるんですよ。少し素直さが足りないのは、カレンも知っているでしょう?」
「『かなり』足りないと思いますけど」
カレンは小さくため息を吐いた。

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以上。正体がバレた後のひとコマ。学園中庭編。山も落ちも無かったので、没。

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Posted: 2009.01.03 WebClapSS. / PageTOP