「もう12時を回ったのか…」
青年は時計を見て、小さくため息をつく。
ここ連日、黒の騎士団は深夜営業が続いていた。
「」
呼ばれて振り返れば、カレンが頬を染めて立っていた。
「どうした?」
「あ。あの、今日が何の日かご存知ですか?」
「今日…?」
脳裏にカレンダーを思い浮かべてみる。
つい先ほど日付が変わっていたことを思い出し、彼は大きく頷いた。
「ああ。バレンタイン」
「そ、それでですね…これを」
差し出された箱とカレンを思わず凝視してしまった。
「甘いものお嫌いなのは知ってます。甘くないビターチョコを用意しましたからっ」
「俺に…?」
「はいっ」
箱をもう一度見れば、差し出された手に何箇所も巻かれた絆創膏に気づく。
「ありがとう」
受け取ると同時に、手を掴む。
「これのせいか?」
「い。いえ。その…不器用なので…」
「君に感謝を」
はそれだけ言うと、カレンの手を口元へ引き寄せ、絆創膏の上に口付けた。マスク越しではあったが、彼女の傷が早く治りますようにと願いを込めて。
「あ……」
「大切に頂く」
「は、はい」
カレンは真っ赤になって俯いてしまった。
そんな彼女を見つめて、は自分を落ち着けるのに苦労していた。
(反則だろう、その可愛さは)
だが、そんな様子はおくびにも出さず、彼はカレンに声を掛けた。
「ありがとう、カレン。来月のお返しを楽しみにしているといい」
「は、はいっ!」
顔を真っ赤にして走り去る彼女が、何よりも愛しいと思う青年だった。
かくも穏やかで平和な日常。 Ver.黒の騎士団
評価
後書&コメント
No comments yet.
Leave a comment
Posted: 2009.01.03 Code/Geass.. / PageTOP