「だいたい使い方の説明は、こんなものだな」
機械の説明と計算方法について説明を終えた。ざっとという感じだが、それでも時計を見れば、約二時間が経過していたりする。
「一番気に入ったのは、太陽光発電のようだがな。壊しても俺には直せないから気をつけろよ」
「あら、直せないの?」
「俺はここに住んでいるが、この城を作ることは出来ないぞ」
挑発的な視線を、は肩を竦めることでするりと躱す。
「なるほど。一点ものという訳ね」
「そう思ってもらって問題ない」
「わかったわ。代金はそうね、前回と同じだけ支払うわ。それでいいわね」
「……また大金を。出来れば、前回と同じく管理お願いしていいか?」
は以前貰った金額を思い出し、100円均一の計算機が化けるなと考えていた。
「いいわ。そういえば、面白い事を言っていたわね。銀行?」
「簡単に言えば、金庫番だな。人から金を預かり、管理する。安全を保障する代わり、手数料をもらう。ここだと開設は少し難しいかな」
は頭の中で銀行の仕組みを考えてみる。
「理由は?」
「全国的な高速連絡網がないこと。又は物の真贋を判定する方法が曖昧だということ」
華琳の問いかけに脳裏に描いた仕組みの最大の問題点を挙げる。
「贋金の話?」
「いや。贋金の判定ってのは重量で出来るだろ?銀行では預かる金が本物かどうか、預かる時点で判断する。金を扱うプロ……職人なんだからな。贋物を持ってきた時点で詰めている警備員が逮捕できる。この街の中だけならともかく………」
小声で呟きながら裏紙になにやら書き始めるの手元を、華琳は起き上がって覗き込む。
半分は彼の国の言葉で書いてあってわからない。わからないということが腹立たしい。
「。説明をしなさい」
華琳が声を掛けるが、は何やら図を描いていて彼女の声に気付いていない。
それすらも腹立たしくて、華琳の額に青筋が浮かんだ。
「!!」
「うわっ!?何だ!?驚かすなよ、華琳」
耳元で名前を叫ばれ、青年は漸く華琳を振り返る。
「人が呼んでいるのだから、反応くらいしなさい!」
「わ、悪かった。謝るから、落ち着け」
襟首を?んだ彼女が何度も呼びかけていたのだと知って、は素直に謝る。
「少し集中しすぎた。すまん」
「……いいわ。で、まとまった?」
華琳はため息を吐いて、を促す。
「システム……機構的には構築可能だ。通帳というものを使うことでな。やはり問題は偽造だ」
この後、もう少し煮詰めて郵便事業に乗り出す……なんてのも、ありか?
コメント by くろすけ。 — 2011/01/29 @ 00:27
そして自分の首を更に絞める…と
つうか預かっても銀行と違い金増やせないんじゃ?
コメント by 涼斗 — 2011/01/29 @ 22:07
ま、出来たとしても、金貸し&金預かりになるだろうけれど。
システムを考えるだけなら、別に忙しくはならないかと。
皆さん忘れていらっしゃるかもしれませんが、主人公君は基本面倒な事は嫌いです(笑)
コメント by くろすけ。 — 2011/01/30 @ 00:12
銀行ではなく、換金屋になりそうです…
暗部の連絡網を駆使して郵便事業は是非とも実現して欲しいですねぇ~
コメント by 蒼空 — 2011/01/30 @ 18:48
>蒼空様
郵便事業はそのうち始めると思いますよ。早い連絡手段は必須でしょうしね。
その前に道路の整備とか、早馬の整備とか、そっちが先かと。
三国同盟後かなーと遠い目で考えてます。
コメント by くろすけ。 — 2011/02/01 @ 01:01