[真・恋姫†無双] -お昼ご飯の光景。

肉しか食べようとしない春蘭に、サラダボウルから野菜を山盛りにしてやる。
「野菜も食えっ!馬鹿師匠!こっちを空にしない限り、お代わりはなしだからな!」
「私は肉だけで十分だ!」
空になった皿を受け取りながらも、はサラダの皿を春蘭の前に置いた。
「……残してみろ。明日から、俺の手伝いは受けられないと思え?」
「なっ!それとこれは別問題だろう!?」
の手伝いが無くなってしまえば、仕事に間違いなく影響が出る。
「知ったことかっ!肉だけだと栄養が偏るって言ってんだ。黙って食えっ!」
「師匠に向かって何て言い草だ!秋蘭、お前からも何か言ってやれ!」
「……そうだな」
ハヤシオムライスを堪能していた秋蘭は、眼前で言い合う二人を見上げてレンゲを置いた。
「作ったのはなのだからな。出された以上、黙って食べるのが礼儀だろう?」
「む……」
に手伝いを止められると、非常に影響が大きい。姉者が折れるべきだろうな」
秋蘭の援護を受けられず、春蘭はしぶしぶサラダに手を伸ばした。
食べ始めたのを見届けて、は春蘭の皿に新しいハヤシオムライスを載せるべく、フライパンを手にする。

そんな彼の後ろに、秋蘭がやってきた。
ちょっと振り返って青年は、彼女が何を言いたいのか理解していた。
「わかっているよ。俺としては、春蘭がちゃんと野菜を食べてくれればいい」
「ならいいんだ。姉者はに頭が上がらぬのでな」
「力で勝てない以上、対抗策を持つのは当然だろ?ほい、出来た」
が差し出した皿を見た秋蘭は、堪えられないと小さく笑い出す。
「何だ?」
「いや、は甘いと思ってな」
「……秋蘭にはもう甘味を出していいか?」
先ほどよりも肉が多めに盛られているのに気付かれた青年は、視線をそらして冷蔵庫に手を掛ける。
「くくく……、いや、姉者が食べ終わってからで構わないよ。お茶を淹れてもらえるか?」
「はいはい。少々お待ちください。どれくらい腕が上がったかお見せしましょう。お師匠様」
軽く手を振る青年に、秋蘭は嬉しそうに笑ったところを見せぬように背を向けた。

その後、帰ってきた季衣に強請られて、春蘭に作った以上のハヤシオムライスを作ることになったのだが。
やはり彼女も肉ばかりを食べるため、ほぼ同じ説教をすることになったの肩を、秋蘭がこっそりと叩いたのは二人だけの秘密である。

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後書&コメント

  1. お気づきでしょうか。この話、実は時系列的に凄くおかしいところがあるんです。
    ……秋蘭が『名前』で主人公を呼んでいるんです。
    ま、そのうち彼女達が主人公を名前を呼び始める話も書くので、それ以降の話だと思っていただければラッキーです。どう考えても、それまでにこの切り札を切らずにはいられないと思うんですけどねー

    コメント by くろすけ。 — 2013/06/16 @ 16:59

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Posted: 2013.06.16 WebClapSS. / PageTOP