布を買いに行く青年に、覇王様とその忠実な部下である姉妹が一緒に。
街を歩けば、珍しい格好をしている四人に視線が集まっている。これも広告になるかと、は既に諦めモードである。
そんな事よりも、一緒に歩いている人たちのうなじや、ちらりと見える手元や足元とかの方が、青少年的によっぽど問題だ。
自分がチラリズムに弱いとは思いもしなかった青年は、こっそりため息を吐いた。
「の国では、この服を着て花火を見るのが流儀なのか?」
黙々と、いや悶々と考えながら歩いていた青年に、前を行く秋蘭から声がかかる。
「そうだな。夏の夕涼みに花火を打ち上げて、祭りが行われる。そこに着ていくことが多いな」
彼女の言葉に、は地元で行われる祭りを思い出した。
腹に響くような音と共に打ちあがる花火と、人々の喧騒と、夜店の賑わい。
「花火以外にどんな事をするの?」
青年の表情が実に楽しそうなものだから、華琳は訊ねていた。
「そうだな。地元の神様にお参りをして、夜店といわれる出店を楽しんだり、盆踊りをしたり」
「ボンオドリ?」
春蘭だけではなく、他の二人も初めて聞く単語に首を傾げている。
「広場に櫓をたてて音楽を鳴らす。その曲に合わせて踊りを踊るんだ。要は皆が集まってワイワイやれればいい。老若男女関係なくな。その日だけは無礼講だ」
「楽しそうね」
「だろう?いつかこの国が平和になって、火薬を戦いに使わなくても良くなったら……」
はまっすぐ賑わう大通りを眺めた。
「そうね。盛大なお祭りを執り行いましょう。私の名前において、約束してあげる」
「……そいつは楽しみだ。ものすごく大変なことになりそうな予感がする」
その時に彼がいるかはわからないけれど、間違いなく凄いことになる予感だけはした。
「祭りの前に倒れたりしないよう気をつける必要がありそうだな。お、あそこだ」
目的の店に入って、その店主が女性だとわかった途端。
針のムシロに座ることになったのは、言うまでもないことだろう。
チラリズム万歳!
しかし、浴衣ではあーれーが出来ないのが、残念無念。
コメント by くろすけ。 — 2013/06/16 @ 17:08